埋め立て工事が続く名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部=10月14日(小型無人機で撮影)
米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を巡り、沖縄県の埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決の取り消しを求め、沖縄県が国を相手に7月に提起した「関与取り消し訴訟」の判決が23日午後、福岡高裁那覇支部(大久保正道裁判長)で言い渡された。大久保裁判長は県の請求を却下した。
県は最高裁に上告するとみられる。
国と地方自治体が対等だとする地方自治法では、地方自治体の判断に国が介入する「関与」に地方自治体が不服がある場合、関与の取り消しを求める訴訟を提起できる。一方で、行審法による裁決は関与に該当しないとされている。
県は、行審法を利用できない「固有の資格」を有する沖縄防衛局の請求を認めた国交相の裁決には「成立の瑕疵」があると主張。違法な裁決は裁判の対象になり、取り消されるべきだと主張していた。
国は裁決は適法か違法かに関わらず「国の関与」に当たらないなどとして、県の請求は却下するべきだと訴えた。行審法を利用したことについては、法的には一般私人と同じ立場で埋め立て承認の撤回を受けたとして、適法性を主張した。
玉城デニー知事は昨年10月の就任以降、辺野古新基地建設阻止を支持する民意を後ろ盾に、対話による工事中止を求めてきたが、政府が工事を続けたことから、2つの法廷闘争に踏み切った。
9月18日に高裁那覇支部であった関与取り消し訴訟の第1回口頭弁論で玉城知事は「国の機関が私人になりすまし、国民しか利用できない行政不服審査制度を用いて地方公共団体の決定を覆すことができれば、真の地方自治は保障されない」と意見陳述した。
県が8月に提起したもう一つの抗告訴訟は、撤回を取り消した国の決定は違法だとして、国交相の裁決取り消しを求めた。抗告訴訟の第1回口頭弁論は11月26日午後2時半から那覇地裁で開かれる。【琉球新報電子版】
2019-10-23 06:01:55Z
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